木を扱っています。といっても漠然と、,,,

自分の写真
nagoya, aichi, Japan
1956年、名古屋産、工学系、我関せず、刳るものは拒まず去る者は追わず、淡々、

2009年9月2日水曜日

読感です。”オリバーサックス著 色の無い島へ”

著者は精神神経科医である。遺伝による障害で色を識別できない人が、通常200万人に1人現れる。これは劣性遺伝なので通常はこの確率。しかし閉鎖された離島で、災害で人口が極端に減り(ここでは20人くらいまで)近親婚が繰り返されると劣性因子が発現する。このある島では全色盲が人口の5%だという。著者はここへ調査に行く。同じく全色盲の神経科医の友人を伴って。

生まれつき色の無い彼らは、多くの障害がそうだが、障害にはならない。”色が識別できなくて困りませんか?”という問いに、友人の精神科医は、”色だけでモノを判別するわけではありません。手触り、香り、季節、光の反射など全ての感覚で物事を捉えます。ただし、健常者と話しをするときには困ります。だから、これはこういった色、こう見えるときはこの色の名を言えばいい、と一生懸命覚えました。” 健常者こそが障害らしい。

この友人は、その離島へ着いたとき走り寄ってくる子ども達が自分と同じ全色盲だとすぐに判ったという。全色盲は網膜の障害のため、強い光に耐えられなく目を細めていて眼球は忙しく動き続けるのが特徴だからだ。かれらは薄暗い中では(三日月の夜、色の無い時間には)、すばらしく細かい陰影まで見分けるらしい、だから夜釣りが得意だという。なんらかのたたりのように苛まれていた彼らに、単に原因のある特質だと説明する。その島以外から来た全色盲の文明人からの説明は十分説得力があったようだ。彼らにはサングラスがプレゼントされた。

特異な人々との交流や因子の解明、この島の自然や風習なども紹介されている。著者は医学だけでなく、自然や風習に対する造詣も深く、その表現も快い。

この話以外に、グアム島では筋萎縮性側索硬化症(ALS)が風土病として高い確率で存在ていた(当時)。そこでの旅行記も載っている。島での患者と健常な人々との普通の暮らし、彼らの捕らえかた、そして住民の長い間の病気との生活から原因究明を行っている。ALSは、現在も原因不明の病である。ルーゲーリック(野球選手)病ともよばれ、宇宙物理学者ホーキンス,マイケルJフォックスなどが発病している。日本の紀伊半島とグアム島に風土病として知られており研究されている。

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